非接触コネクタ研究会 設立趣旨

 

 

 

 

 

 

 

 

発起人

黒田 忠広

慶應義塾大学 慶應義塾大学理工学部電子工学科 教授

 

 電子機器の性能・コスト・品質は接続技術で概ね決まります。大規模なシステムの接続問題を解く過程で、20世紀半ばに3つの革新的な発明が生まれました。はんだ付けに代わるコネクタ、配線を変えずにプログラムで機能変更できるノイマン型コンピュータ、そして写真印刷技術でチップに一括配線する集積回路です。現在ではチップの中で数百億個の素子が接続されています。

 しかし、ムーアの法則が減速しチップ内での集積のみに頼ることができなくなりました。また、ノイマン型コンピュータの性能ボトルネックが顕在化する一方で、神経回路網のように配線で機能変更する布線論理型コンピュータが見直されています。そしてコネクタも小型軽量化が限界に近づいています。すなわち、一段と画期的な接続問題の解が求められています。

 新技術の芽は育まれています。私たちは、チップやモジュールの接続をシリコン貫通電極やコネクタによる機械式から近接場結合による電子式に変革する技術を考案し、国家プロジェクトで15年間研究開発して参りました(1)。その結果、集積回路を2次元から3次元に進化させ、コンピュータをノイマン型から布線論理型に拡張し、そしてコネクタを圧接・機械式から非接触・電子式に革新できる技術を創出しました。非接触コネクタの実用化は始まっています(2)

 産業会にも転換期が訪れています。日本の高度な金型技術と経済成長に牽引されて、戦後日本にコネクタ産業が興り、めざましい発展を遂げました。しかし近年では、韓国、台湾、中国などの後発メーカーの追随を許し、日本の優位性が揺らいでいます。

 このようにコネクタの技術と産業が歴史的転換期を迎える中で、産業界が力を結集して新たな時代に備えることができるように、非接触コネクタ研究会を設立します。

 本研究会は、産業界の交流の場を提供します。コネクタ、電子部品、実装、EDA、計測機器、半導体、エレクトロニクス、機械、FA、クルマ、医療機器の各分野の企業にご参加いただき、垂直連携を図ることで、国際競争力を養うことを目指します。非接触コネクタの技術や開発事例を紹介し、産業界の情報交流を推進します。さらに非接触コネクタの試作・評価に必要な知財と設備を提供します。非接触コネクタは、ケーブルやコネクタを不要にするために、市場創出の期待とともに産業構造変革の不安が交錯します。新技術がどのような未来を拓くのかを一緒に考える機会にしていただければと思います。

 

(1) http://www.kuroda.elec.keio.ac.jp/accel_kuroda/

(2) http://www.kuroda.elec.keio.ac.jp/research/tlc.html